電磁波⑩

 電波は医療にも利用されています。代表的なものを2つ紹介します。

 1つめは、MRI(体の内部や脳の内部の断層画像を見る装置)です。MRIでは、まず磁場を、次に電波を使って、身体の中の水素原子核の向きを揃えます。
 そして、電波を解除したときの水素原子核の変化から、病変部分を見つけ出します。









 もう1つの例は、レントゲン撮影で使うX線です。レントゲン撮影の仕組みは、次の図で説明できます。










 
X線は周波数が大きくエネルギーが大きいため、人体の大部分を透過します。しかし、骨ではX線が吸収されるため、骨のある部分はフィルムにX線が当たらなくなります。すると、その部分だけが黒くならず白く残ります。このようにして、骨の様子を映し出すことができるのです(人体の主要部分はHCNOなどの小さい原子でできているため、X線が通り抜けます。それに対して、骨や歯を形成しているのはCaPなどまあまあ大きい原子なので、X線があまり通り抜けません。なお、レントゲン撮影時にはX線を浴びたくない部分に鉛の腰巻のようなものを巻きます。また、レントゲン室やレントゲン車の壁も鉛でできています。これは、とても大きい鉛(Pb)原子がX線を防いでくれるからです)

 X線は非常に周波数が大きいため、人体へ与える影響も大きいのです。だから、不必要にレントゲン撮影を行うことはありません。
 なお、空港での荷物検査にもX線が使われています。この場合は、レントゲン撮影より弱いX線を照射します。荷物の中の物質の種類によってX線の透過量が異なることを利用し、中身を調べることができます。
 税関で、コンテナなどに積まれた輸出入貨物を検査する際にも、X線を利用します。以前は貨物の全量を取り出してチェックしていましたが、X線の利用で大幅な時間短縮が可能になりました(コンテナから貨物を取り出していたときには、コンテナ1本あたり2時間ほどかかっていました。それが、X線利用により約10分程度に短縮されました)




トップページ   サイトマップ 

inserted by FC2 system