電磁波⑪

 これまで紹介してきたように、電磁波は大変幅広い分野で利用されています。電磁波の周波数は非常に幅広く、周波数ごとに異なる目的で利用されているのです。
 その中でも、実は長年未開拓だった領域があります。「テラヘルツ波」と呼ばれる、周波数が0.110 THz(テラヘルツ)の電磁波です(1 THz1000000000000 Hz)。テラヘルツ波を発生させるには高価な装置や薬剤が必要なため、あまり利用されてこなかったのです。
 しかし、高性能レーザーを使った割安な発生装置が開発されたこともあり、最近はテラヘルツ波利用の研究が進んでいます。


 テラヘルツ波を使うと、例えば錠剤のコーティングの厚さが均等になっているかを調べることができます。コーティングの厚さが不均一だと、割れやすいなどの弊害が生じますが、これを防ぐことができるのです。
 また、テラヘルツ波は水分と強く反応するので、正常細胞より多くの水分を持つがん細胞の発見に利用できるのではないかと、研究が進んでいます。
 他にも、調味料やパック入り食品の中に、髪の毛や虫などが混入していないか調べるのに利用できます。X線による検査では金属やガラスの破片しか発見できませんが、テラヘルツ波であれば他の物質も発見可能です。この特徴を活かして、空港の手荷物検査で麻薬やプラスチック爆弾の発見に利用することも期待されています。

 このように、テラヘルツ波が実用化されれば、いろいろなところで役立つと期待されています。実用化に向け、発生装置の低コスト化や、人体への影響の調査などが課題のようです。




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