「電磁誘導」という現象(磁場の変化が電圧を生む現象)を発見したのは、イギリスのファラデーという人です。1831年のことです。
コンデンサーの電気容量の単位「F」(ファラッド)にも、ファラデーの名前が使われています。
彼はイギリスの貧しい家に生まれ、小さい頃は製本所に住み込みで働いていました。そんな彼が、デービーという有名な科学者の講演を聞く機会を得ました。講演の内容に深い感銘を受けたファラデーは、手紙を書いて懇願し、デービーの助手にしてもらいました(多くの発明をしたデービーが、のちに「私の最大の発見はファラデーに出会ったことだ」と語ったほど、ファラデーは頭角を現しました)。
助手となったファラデーですが、貧しかったため数学を学んでいませんでした。これは、科学を研究する上で致命的とも言えることです。しかし、彼はひたすら“実験”を通しての探究に取り組みました。そして、「電磁誘導」を発見し、現在では欠かすことのできない「発電機」の生みの親となるのです(発電機は、電磁誘導を利用して電流を発生させる装置です)。
自然科学を探究する上で、地道に“実験”することがいかに大切かを知らされます。電磁気学を確立させたマクスウェル(イギリス)は、「ファラデーが数学者で無かったことは、おそらく科学にとって幸運なことであった」と述べています。
次回から、ファラデーが電磁誘導を発見するに至った過程を詳しく紹介します。
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