電磁誘導を利用した便利なものが、身近なところにたくさんあります。そのような例を、いくつか紹介します。
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ICカード(Suica、お財布携帯など)
ソニーが開発した非接触型ICカード技術「Felica」では、電磁誘導が利用されています。
JR東日本で利用しているSuicaは、その一例です。自動改札機にカードをかざすだけで入退場ができるSuicaの仕組みは、以下の通りです。
ICカードを自動改札機にかざします。自動改札機からは周波数13.56
MHzの電波が放出されるので、これによってICカードで電磁誘導が起こり、信号電流が流れるのです。このようにして、「どの駅で入場した」「どの駅で退場した」という情報がカードに書き込まれることになります。
Suicaの場合、かざしたカードが正しいものか認証し、入金額を読み取り、日時や駅名の情報を書き込むという一連の操作が、0.1秒という短時間のうちに行われます。このような素晴らしい技術があるからこそ、改札に実用化されているのです。
他にも、「Edy」「nanaco」「Waon」などの電子マネー、会社や大学などの身分証、マンションなどの入室で使う電子キーにもこの技術が活用されています。
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ICタグ
ICタグ(電子荷札)にも電磁誘導が利用されています。
ICタグの中にも、ICチップとアンテナが入っています。アンテナがあるため、電波を受け取ると電磁誘導が起こります。そして、そのエネルギーを利用して自らも電波を発します。
電池も入っていないICタグが電波を発するのは不思議な感じがしますが、電磁誘導によってICタグ中のただのコイルが電池に変わる、というのがその仕組みなのです。
この仕組みを利用して、ICタグはいろいろなところで利用されています。
<万引き防止>
ICタグのついた商品をレジを通さずに持ち出そうとすると、ゲートでアラーム音が鳴ります。アンテナがゲートからの電波を受け、信号を送るためです。
ICチップの情報は書き換えることができるので、レジで手続きをすれば大丈夫です。
この技術は、図書館などでも利用されています。
<生産流通管理への利用>
工場や倉庫での在庫を極力減らすことは、企業が利益を上げるために重要なことですが、ここでもICタグが活躍しています。
商品(部品)にICタグを付け、工場や倉庫の前にはゲートを設置します。そうすれば、どの商品がいつどれだけ通過したか、という情報を記録することができます。この情報をネットワークで共有すれば、どこにどの商品がどれだけあるか、ということをつねに正確に把握でき、無駄が省けます。
このように、ICタグにはバーコードを利用したタグにはない利点がたくさんあります。
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