モーターと発電機

 さまざまな電化製品の動力源となっている「モーター」。電流を流すと回転します。
 モーターを動かすために必要な電流は、発電所で生み出されます。発電所では「発電機」を回転させることで電気を生み出しています。発電機は回転のエネルギー(運動エネルギー)を電気エネルギーに変換する装置です。
 この「モーター」と「発電機」。働きは異なりますが、実はその基本構造は全く同じなのです。

 モーターも発電機も、コイルと磁石があれば作ることができます。基本的には、コイルの中を磁石の磁場が貫く構造です。そして、

・モーターは、「コイルに電流を流す→電流が磁場から力を受け、コイルが回転する」という仕組みで動きます。一言で言えば、「電流が磁場から受ける力」を利用したのがモーターです。

・発電機は、「磁場の中でコイルを回転させる→コイルを貫く磁場が変化して、コイルに誘導電流が生じる」という仕組みです。こちらは一言で言えば、「電磁誘導」を利用したものと説明できます。

 同じ構造であっても、「まず電流を流す」のか、「まず回転させるのか」の違いで、働きが正反対になるのです。

 モーターと発電機が同じ構造であることを確かめられる、面白い実験があります。
 学校の授業でよく登場する「手回し発電機」を2つ用意します。そして、その2つを下のようにつなげます。








 つなげたら、片方だけを回してみてください。すると、もう片方の発電機も回転を始めます。
 これは、片方の発電機を回したことで電流が生じ、その電流がもう一方の発電機に流れ、発電機がモーターとして働いたため回転したのです。

 また、この実験を実際にやってみると、発電機を回すのが重く感じられるのが分かると思います。これは、発電機が「ブレーキ」としても働くことを意味しています。

 最近増えているハイブリッド車や、これからの普及が期待されている電気自動車、また電車でもモーターが使用されています。通常の状態では、モーターは「動力源」として使用しますが、減速時には「ブレーキ」としても利用しているのです。
 モーターが「ブレーキ」として働くとき、モーターは「発電機」になっています。つまり、モーターをブレーキとして利用すると、減速させるだけでなく電流を生み出すこともできるのです。この電流をバッテリーに充電しておき、再び走行時に利用しているわけです。これが、ハイブリッド車などの燃費が向上する理由の1つです。
 運動エネルギーを電気エネルギーに生まれ変わらせるので、この仕組みは「回生ブレーキ」と呼ばれます。
 



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