渦電流の利用①

 磁場の中で金属板を動かしたり、金属板の近くの磁場を変化させたりすると、金属板に誘導電流(電磁誘導によって生じる電流)が生じます。この誘導電流は渦を巻くように流れるので、「渦電流」と言われます。
 渦電流は、身の周りのいろいろなところで利用されています。その利用例を、何回かに分けて紹介します。


IH調理器(Induction Heating:電磁誘導による加熱)








 コイルに電流を流すと、コイルが電磁石になって磁場が生まれます。コイルに流す電流を変化させれば、生じる磁場も変化します。すると、磁場の変化によって電磁誘導が起こり、鍋の底に渦電流が生じます。
 鍋の底に電流が流れるとジュール熱が発生するので、これを利用して調理することができます。このとき、コイルにはインバーターによって2万Hzほどの高周波に変換された交流が流れます。そのため、渦電流の発生回数が非常に多くなり、加熱効率を高くすることができます。

 鍋が鉄(ステンレスを含む)などの強磁性体でできていると、電磁誘導が起こりやすくなります。つまり、銅やアルミニウム(強磁性体ではない)に比べて、IH調理器に向いているということになります。
 IH調理器にはオールメタルタイプと通常タイプがあります。
 オールメタルタイプでは周波数を3倍程度にしているので、発熱効率が上がり、強磁性体でない銅やアルミニウムの調理器も使えます。しかし、やはり熱効率は低くなります。
 通常タイプは、強磁性体の調理器でしか使えません。
 また、土鍋やガラス製の調理器など、電気を通さないものはどちらのタイプでも使用不可です。さらに、素材に関係なく底が平らでない鍋は渦電流が発生しにくく、発熱効率が下がってしまいます。





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