ガスコンロ

 ガスコンロの点火装置にも、ゼーベック効果が利用されています。







 最初は上のようにガスの通り道は塞がれていますが、点火ボタンを押すと、次のようにガスの通り道ができて、着火装置で着火します。








 このとき、弁を固定する力はどこにもないので、点火ボタンから手を離せば弁は元へ戻り、すぐに消火してしまいます。
 これでは困るので、熱電対を使います。ガスが着火して熱を生じると、熱電対に起電力が生じます。すると、その起電力で図中の電磁石が磁力を持つようになります。この電磁石の力によって、弁(金属製)を固定することができるのです。
 点火ボタンを押して数秒経てば、熱電対に起電力が生じ、電磁石は磁力を持ちます。それまでボタンを押し続ければよいということになります。

 ちなみに、熱電対では数mVという非常に小さな起電力しか生じません。だから、電磁石に流れる電流もそれほど大きくなく、またスペース的な問題から電磁石のコイルの巻き数もそれほど多くはできません。
 それなのに、どうして弁を固定できるのでしょう。ここには、極めて精度の高い「表面加工」が関係しているようです。金属の表面を凹凸のない滑らかな鏡面に仕上げると、互いの表面がわずかに接触するだけで、強力に吸着しあいます。これは、接触面に真空に近い状態が生ずるからです。
 このような技術も、ガスコンロには関係しています。




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