電気を利用して灯りを得ることができなかった時代には、ろうそくを利用していました。
ろうそくを燃やすと、ろう(炭化水素)の持っていた化学エネルギーが熱や光のエネルギーをなって放出されます。つまり、ろうの持っていたエネルギーを利用しているのがろうそくなのです。
ろう(炭化水素)が燃焼するときに放出するエネルギーは、1
gあたりおよそ50000
Jほどです。これだけの大きなエネルギーを、時間をかけて放出していくことになります。仮に、直径2
cmのろうそくを燃やして1時間で高さが3
cm減るとすると、消費する体積は約9
cm3ということになりますので、1時間で放出するエネルギーは(ろうの密度を1
g/m3とすると)50000×9
Jになります。
ここから、1秒あたりの放出エネルギーを計算すると、50000×9
J
÷
3600秒
=
125 J/秒
=
125 Wです。
ところで、現在はろうそくを灯りとして利用することはほとんどありません。電球、蛍光灯、LEDなどを利用して、電気エネルギーを光に変換しています。
例えば、消費電力がろうそくと同じ125
Wの電球の明るさは、ろうそくと比べてどうでしょう?これは、電球の方がずっと明るくなります(一般家庭では、125
Wよりずっと消費電力が小さな電球を使いますが、それで十分な明るさを得られています)。
さらに、蛍光灯であればより明るく(同じ明るさを得るのに必要な消費電力はさらに小さくて済む)、LEDはもっと明るくなります。
同じ量のエネルギーを消費しているのにも関わらず、このように明るさが全然違ってくるのはなぜでしょう?
実は、ろうそくを燃やしたときも、電球などを使用するときも、光と同時に必ず熱が発生します。ろうそくであれば、ろうの持っていた化学エネルギーが「光エネルギー+熱エネルギー」に変換され、電球などの場合は電気エネルギーが「光エネルギー+熱エネルギー」に変換されるのです。
このとき、使用するものによって光と熱のバランスが変わります。ろうそくの場合は、光を発する量に対して熱を多く発してしまうのです。これは、もし暖をとることを目的に使うのであれば問題ありませんが、灯りを得ることが目的の場合にはロスとなってしまいます。
電球など電気を使用する照明器具は、ろうそくに比べて熱として発生する割合が小さくなります。だから、エネルギーをより効率的に光として利用できるのです。
そして、照明器具の中でも電球より蛍光灯、蛍光灯よりLEDの方が、熱の発生が抑えられます。この違いが、エネルギー効率の違いとなるのです。
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