ゼーベック効果

 前回説明したように、ゼーベックの発見(ゼーベック効果)がオームの法則の発見につながりました。

 ゼーベック効果は、例えば宇宙探査機に搭載される原子力電池に応用されています。
 原子力電池には、プルトニウム238などの放射性同位体(放射線を出して自然と崩壊していく元素。崩壊するときに熱を出す。半減期(半分になるまでの期間)が長いものを使えば、長期にわたって使用可能)が入っています。これによって生み出される熱と、宇宙空間(温度は3K (270)で一定)との温度差を利用して発電するのです。
 地球の周りを周回する人工衛星や、小惑星帯(火星と木星の間)くらいまでの宇宙探査機であれば、じゅうぶんな太陽光を得られるので、原子力電池でなく太陽電池を使います。原子力電池は打ち上げ失敗や墜落などで、放射性物質を撒き散らす危険性があるからです。
 しかし、これより遠くへ行く探査機では、太陽光が不十分なので原子力電池を使います。

 他にも工場、自動車、家庭などでの排熱を使えば、ゼーベック効果によって発電できます。実は、世界中で石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料から得られる熱の約70%が、利用されない無駄な廃熱となっているのです。こんなに勿体ないことはありません。現在、ゼーベック効果を利用して今まで無駄に捨てられていた廃熱をエネルギー源とする研究が、盛んに行われています。

 ゼーベック効果は、一言でいえば「熱から電流を生み出す現象」ですが、この正反対の現象も起こります。「ペルティエ効果」と言って、「電流から熱を生み出す現象」です。
 これは現在、冷蔵庫に応用されています。







 上のような回路を使うことで、電流を使って冷蔵庫内から外へ熱を移動させることができます。モーターやコンプレッサーが不要なのでとても静かで、冷媒も不要なのが利点です。




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