地球の内部①

 「磁場」を生むのは「電流」です。
 このことは、コイルに電流を流すことで磁力を生じる「電磁石」を思い浮かべれば分かると思います。
 フェライト磁石など普通の磁石では、電源につないで電流を流しているわけではありませんが、磁石を構成する原子中の電子の動き(スピン=自転)によって磁場が発生し続けています。やはり、「磁場」を生み出すものは「電流」しかないのです。

 私たちの身近なところでは、冷蔵庫にメモ用紙を貼り付けるために使う磁石や、電化製品の中のモーターや発電機などに用いられる磁石など、たくさん磁石が利用されています。そして、その中でも特に私たちが常に触れ合っている磁場があります。それは「地球の作る磁場」です。
 方位磁針は必ず一定の方向を向きます。これは、地球が巨大な磁石となっているからです。

 さて、先ほど説明したように電流以外に磁場を作るものはないということから考えると、地球の中にも電流が流れているということになります。一体、地球のどこに電流が流れているのでしょう?
 それは、地球の内部です。
 地球の内部は下図のようになっていると考えられています。








 地球の中心部には、大量の鉄があると考えられています(地球の全質量の3分の1は鉄)。鉄は金属なので電流を流すことができ、この電流が地球を巨大な磁石にしているというわけです。
 もう少し正確に言えば、地球に磁場が生じていること自体が、地球内部が金属でできていることの証拠になっているのです。地球内部が金属()でできているなどということは、人間が実際に観測して確かめたことではありません。実際に人間が今までに掘り進められた深さは、約10kmだけなのです。地球の半径は約6400kmですから、1%も掘り進められていないことになります。
 実は、長いこと人間が暮らしてきた地球ですが、その内部は人間にとってまだまだ未知の世界なのです。しかし、磁場は電流によって生じるものだという電磁気学によって、地球の内部について知ることができるというわけです。

 ちなみに、約10時間という短い周期で自転する木星には、非常に強い磁場が存在することが分かっています。自転のスピードが速ければ、自転によって生じる電流が大きくなるからでしょう。
 逆に、周期約244日で自転する金星の磁場は、地球の約2000分の1の強さしかないそうです。

 


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