地球内部の電流によって磁場が生み出されること、また電流の向きの逆転によって地球磁場の逆転が過去に何度も起こってきたことを説明しました。
最後に、もう少しだけ詳しく地球内部について考えてみたいと思います。
地球内部の深いところへ行けば行くほど、温度と圧力が高くなります。
地球内部には地球ができたときのエネルギーが残っていますし、核分裂によっても熱が生じているため、温度が高くなります。
また、深いところへ行けばそれだけその上部にある岩石の量が増えるので、圧力も大きくなります。
例えば、地上面からの深さ30
kmのところでは、温度は約1000
℃、圧力は約10000気圧(大気圧の10000倍)ほどです。世界で最も深いマリアナ海溝は最深約10
kmですが、その水圧は約1000気圧です。深さ30
kmであればその3倍の3000気圧となりそうですが、水よりも岩石の方が密度が大きいため、ずっと大きな10000気圧という圧力になるのです。
そして、マントルと液体の鉄(外核)の境目である深さ約2900
kmの地点まで行くと、温度は約4000
℃、圧力は約135万気圧にもなります。以下、深さ5100
kmでは温度は約5000
℃、圧力は約330万気圧に、地球の中心(深さ6400
km)では温度は5000
℃以上、圧力は364万気圧にもなるそうです。
地球内部はそれほどの高温になっています。それなのになぜ、内核には固体の鉄が存在するのでしょう?それは、圧力がめちゃくちゃ大きいからです。
物質の状態(固体・液体・気体)は、温度だけでなく圧力によっても変化します。圧力が高くなれば、気体→液体→固体へと変化していきます。だから、地球内部に固体の鉄が存在できるのです。
ちなみに、地球内部にある液体の鉄も固体の鉄も、直接見ることはできません。それなのになぜ、液体や固体といった状態を知ることができるのでしょう?
その手掛かりは、地震波を使った計測にありました。
地震では、縦波(P波:初期微動)と横波(S波:主要動)とが発生します。この2つの波には性質の違いがあります。
1つめの違いは、伝わる速さです。横波に比べて縦波の方が速く伝わります。
もう1つの違いは、縦波は固体・液体・気体どこでも伝わることができますが、横波は固体中しか伝わることができないという点です。
大きな地震が発生すると、地球の反対側まで伝わることがありますので、そのときの伝わり方を計測することで地球内部の状態(固体or液体)を知ることができるのです。
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