エンジンの点火

 電磁石を利用して車のエンジンへ燃料を噴射することを説明しました。
 しかし、ただ燃料を噴射しただけではエンジンは動きません。燃料を燃焼させるには点火する必要があります。
 燃料の点火は、高電圧による放電によって行います。10000 V以上という高い電圧での放電により、点火されます。
 しかし、これほどの高電圧のバッテリーを車に搭載するのは現実的ではありません(乗用車の場合は、電圧12 Vのバッテリーが搭載されています)。では、どのようにして10000 V以上という高電圧を発生させているのでしょう?

 ここで利用されるのが、相互誘導です。









 上図のコイル1に流れる電流をオンにしたりオフにしたりと変化させます。すると、コイル内に生じる磁場の変化が隣のコイル2へ伝わり、コイル2に誘導起電力が発生します。この現象が相互誘導です。
 このとき、コイル1の巻き数に対してコイル2の巻き数を大きくすると、コイル2に生じる起電力(電圧)も大きくなります。逆にコイル2の巻き数を小さくすれば、コイル2の起電力は小さくなります。これは、交流送電の変圧器で利用されている原理と全く同じです。

 相互誘導を利用すれば、10000 Vという高い電圧を生み出すことも可能です。実際、エンジン内の燃料への点火には、この仕組みによって生み出された高電圧が利用されているのです。




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