磁石は、必ずN極とS極のセットで存在しています。ペアになっているので「ダイポール」と言います(「ダイ」は「2つ」、「ポール」は「極」という意味です)。
それに対して、N極だけ、またはS極だけのように片方だけのものを「モノポール」と言います(「モノ」は「1つ」という意味です)。でも、そんな磁石見たことありませんよね?
実は、この世のどこにもN極だけ、またはS極だけという「モノポール」は存在しません。すべてダイポールとして存在しています。
でも、何だか不思議な感じもします。例えば、次のように棒磁石をちょうど真ん中で分割したら、N極だけの磁石とS極だけの磁石(モノポール)になりそうです。
しかし、実際には上のようにはならず、次のように「ダイポール」が2つ生まれます。
このことは、次のように理解できます。
実は、1つの磁石の中には次の図のように「ミニ磁石」がたくさん入っているのです。
よって、例えば鉄釘が磁化される仕組みは、次のように説明できます。
つまり、たくさんのミニ磁石が向きを揃えるのが磁化なのです。
そして、磁石を細かく分けていってもミニ磁石の数が減るだけで、N極だけの磁石やS極だけの磁石にはなりません。
「ミニ磁石」というのは、正確に言えば電子のスピン(自転)が生み出す磁力のことです。
原子の中には電子が存在します。電子は原子核の周りで動いています。その動きは、天体と同じように「自転(スピン)」と「公転」で理解することができます。
磁性体の原子の中では、電子のスピンの向きが不揃いになっているため、磁場が生まれるのです。これを、今回は「ミニ磁石」と説明しました。
この世に、「N極」とか「S極」という実体は存在しません。電子の動きが磁力を生み出しているに過ぎないのです。
そう考えると、永久磁石も電磁石も、本質は同じであることが分かります。ともに「電子の動き(電流)」が生み出す磁場なのです。
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