ローレンツ力でスペースデブリを回収する

 人工衛星が周回している空間(地表数百km~数万kmのあたり)には、人工衛星やロケットの破片など、スペースデブリと呼ばれるゴミがたくさん存在します。デブリの問題は、今後も宇宙開発を進める上で深刻な問題ですので(デブリは秒速10 kmほどで運動しているので、小さなものでも衝突の威力はすさまじいものとなります)、少しずつ回収することが考えられています。
 検討(研究)されている回収方法はいくつかあります。地上や宇宙船からレーザー光を当てて、その力でデブリの軌道をずらすといった大胆な方法もあります。
 検討されている中には、地球の磁場をうまく利用する方法もあります。それは、「電流が流れるひもをデブリにくっつける」という方法です。

 電流は、磁場から力(ローレンツ力)を受けます。地球の周りのスペースには、地球が作り出す強力な磁場が存在します。ですので、デブリにくっつけたひもに電流を流せば、力を受けることになります。
 電流が流れるひもは、宇宙船から取り付けることが考えられています。ひもの向き(=電流の向き)をうまく調整することで、地球磁場から受ける力をデブリにブレーキをかける向きに制御します。デブリにブレーキがかかれば、徐々に軌道が下がり、やがて大気圏に突入して断熱圧縮および摩擦の熱によって燃え尽きるわけです。




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