ソーラーパネルの反射防止膜

 高校物理では、薄膜による光の干渉を学びます。





 2つの光
(薄膜の表面で反射する光と、薄膜内へ進入してから反射して戻ってきた光)が強めあって明るく見えるか弱めあって暗く見えるかは、薄膜の厚さdによって決まります。
 実は、この原理をうまく応用しているのが、ソーラーパネルの表面につけられている反射防止膜です。

 ソーラーパネルの発電効率(太陽光のエネルギーの何%を電気エネルギーに変換できるか)は種類によって異なりますが、普及しているものはおおよそ1020%程度です。つまり、ソーラーパネルに降り注ぐ太陽光エネルギーの8割は利用できていないのです。
 その原因はいくつかありますが、1つは表面での光の反射です。せっかくエネルギーが降り注いでもそれが反射してしまっては、利用できません。

 そこで、光のエネルギーの反射を抑えるために、上で記した薄膜の干渉を利用するのです。2つの光が干渉して弱めあうとき、薄膜表面から反射されていく光のエネルギーが弱められます。ということは、ほとんどのエネルギーがソーラーパネルに吸収されることになるのです。

 多くのソーラーパネルではシリコンが使われていますが、シリコン自体には金属光沢があり青く見えません。ソーラーパネルが青く見えるのは、この反射防止膜の色なのです。

 同じ原理は、例えばメガネにも使われています。写真撮影時に光ってしまうのを防いでくれます。

 相手のレーダーに探知されない「ステルス型戦闘機」にも、同じ仕組みが利用されています。電磁波を発射し、その反射を観測することで物体を見つけるのがレーダーです。ステルス型戦闘機には、薄い膜が塗布されています。膜の表面で反射する電磁波と、膜の中で反射する電磁波とが干渉して弱めあうことで、電磁波が反射していかないようにしているのです。


 なお、表面に凹凸をつけることで、光を外部へ反射させずに閉じ込める、という方法も採用されています。




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