地球には、宇宙のあらゆるところに位置する天体から無数の光がやってきます。
次の図のように、仮に地球を中心に何重もの殻があったとすると、各天体はその殻の上に存在すると考えることができます。
殻の表面積は「地球からの距離」の2乗に比例するので、その上にある天体の数もほぼ「地球からの距離」の2乗に比例すると考えられます。
一方、光は遠くへ行くほど弱くなります。その度合いは、「光源からの距離」の2乗に反比例する弱まり方になります。これは、上の図で地球から出た(恒星ではないが、出たと考えて)光が殻全体に届くことから、殻の表面積が距離の2乗に比例するのに対して届く光の強さが距離の2乗に反比例すると考えれば、理解できると思います。
さて、タイトルの内容について考えてみましょう。
地球からの距離が大きくなると、その2乗に比例して天体の数が増える、しかし距離の2乗に反比例して1つひとつの天体からの光は弱くなる。この効果が打ち消しあう結果、「遠くの宇宙から来る光も近くから来る光も、強さは同じ」という結論が導き出されます。
しかし、現実は違います。近くの宇宙からの光の方が強くなっています。理由はなんでしょう?
答えは、「光のドップラー効果」です。
遠くの天体ほど、地球から高速で遠ざかっています。だから、遠くの天体からやってくる光ほど大きなドップラー効果を生じて、波長が長くなっています。波長が短いほど光のエネルギーは大きいので、波長が伸びた分エネルギーが小さくなっているのです。このため、遠くの宇宙から来る光が弱くなることになります。
もしドップラー効果が生じなければ、近くからも遠くからも同じ強さの光がやってくることになるのです。
|