透明人間は目が見えない

 誰でも一度は「透明人間になってみたい」という願望を抱いたことがあるかもしれません。空気の中で透明人間になるには、身体が空気と同じ屈折率の物質で構成されている必要があります。そうしなければ、空気中からやってきた光が身体の表面で反射してしまうからです(「透明な魚」参照)
 ちなみに、空気と同じ屈折率ということは、例えば水中へ潜ればもはや透明人間ではなくなってしまうということを意味しています。空気と水の屈折率は異なるので、当然です。仮に透明人間になれたとしても、うかつに動き回ることはできませんね。
 透明人間が悲惨なのはそれだけではありません。実は、透明人間は眼が見えないのです!なぜでしょう?
 眼で何かを見ることができるのは、水晶体で光が屈折して網膜上で結像するからでした。






 でも、水晶体で光が屈折するということは、水晶体と周りの物質(空気中にいる場合は空気)との屈折率が異なるということです。そして、屈折率が異なれば光の一部は反射するのでした(「透明な魚」参照)
 だから、眼が見えるということは、周りからも見えてしまっていることを意味するのです。どうしても透明になりたければ、その代償として視力を失うしかないのです。
 世の中、うまくいかないものですね。




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