ロシアのウラル地方チェリャビンスク州を襲った隕石の落下・爆発による被害は、半径100
kmにも及びました。これは、音速を超える隕石によって衝撃波が発生したためです。
今回は、衝撃波について説明したいと思います。
衝撃波は、音速を超えて進む物体によって生み出されます。次の図で説明します。
このように、たくさんの音波が重なり合うことで強い衝撃が生み出されるのが、衝撃波です。衝撃波によって、爆音・爆風が生じます。
ちなみにこのとき、高速の物体の前方の空気は急激に圧縮されるため(断熱圧縮)、超高温になります。今回の隕石は約18
km/sの速さで進んできましたが、その表面の空気の体積は数百万分の1に圧縮され、数万度という高温になったそうです。この高温の空気が光を放出していたのです。
そして、物体が飛び去ったあとには空気はすぐに膨張します。すると、今度は温度が低下するため雲ができやすい状態になるのです。
実は、衝撃波は隕石の落下だけでなくいろいろなところで発生しています。
例えば、イギリスとフランスで共同開発されたコンコルド。マッハ2(=音速の2倍。約2400
km/時。普通の旅客機は約900
km/時)という速度で飛ぶことができるため、通常の旅客機よりもかなり短時間で航行することができます。しかし、音速を超えるために衝撃波を生み出すことに加え、燃費も悪く、1976年~2003年には就航していましたが現在は利用されていません。
また、トンネルを作る工事などでダイナマイトを爆発させると、爆発によって無数の物体が音速以上に加速されて衝撃波が発生します。この衝撃波を「爆轟波」と言い、マッハ15(約5
km/秒)という速さになります。
雷が発生したときの「ゴロゴロ」という音も衝撃波によるものです。雷の大電流によって熱が発生し、空気が急速に加熱されて膨張し、衝撃波が発生するのです。
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