ヘリコプターのプロペラが回転を始めるとき、最初ゆっくり回っているときには音が聞こえません。しかし、プロペラの回転数が増加するに従って大きな音が聞こえるようになります。
プロペラがゆっくり回っているときには音が出ていないわけではありません。速さに関係なく、プロペラが回れば周りの空気が振動し、音は発生します。しかし、回転がゆっくりの間は発生する音の振動数が小さいため、聞こえないのです。
人は20
Hz以下の音(低周波)を聞くことはできません。つまり、回転開始時には低周波が発生しているため、音は存在するのに聞こえないという状態なのです。
低周波は、聞こえないだけで身近なところにたくさん存在しています。例えば、ヒトの皮膚はマイクロ・バイブレーションという微弱な振動をしています。そのため、8~12
Hzの微弱な低周波が常に人体から発せられています。
低周波が原因となって、内出血などの病気を起こすこともあるそうです。低周波が発生している環境にいると、外気とつながっている肺にそれが伝わり、肺は低周波と一緒に振動(共振)してしまいます。この振動により肺と他の部分が摩擦して、内出血が起こってしまうのです。
低周波はボイラー、エアコンの室外機、自動車のエンジン、高速道路、ダムの放水などいろいろなところで発生します。聞こえない音である低周波が原因であることには、すぐに気づかないことも多いようです。
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