防波堤や岩場にできる高波

 防波堤や岩場で釣りをしていた人が高波にさらわれるという事故が、たまに起こります。もともとそれほど大きくなかった波も、波打ち際では大きくなります。だから、波の大きさを見て油断していると大変なことになるのです。
 いったいなぜ、波打ち際で波は高くなるのでしょう?

 これを理解するには、波の反射について理解する必要があります。
 波の反射には、反射点が自由に動ける状態での反射(自由端反射)と、反射点が固定されて動けない状態での反射(固定端反射)とがあります。
 次のように、弦の一端を棒につなぎ、逆側から発生させた波を反射させる場合を考えます。







 このとき、弦をリングに結んで棒に通した場合が「自由端反射」です。自由端反射の場合は、波形は変わらずそのまま反射します。








 波のちょうど真ん中までが反射端にさしかかった瞬間を見てください。このときは、右へ進んでいく入射波と左へ進んでいく反射波がちょうど重なりあい、図のように大きな波ができます。

 一方、弦をしっかり棒に結びつけてある場合の「固定端反射」を考えます。







 このときは反射端が動けないため、上下反転した反射波が発生します。

 以上のことを踏まえ、防波堤や岩場について考えてみます。
 防波堤や岩場で反射するとき、水面波は自由に上下振動できます。つまり、「自由端反射」をするのです。
 すると、先ほど説明したように反射する瞬間の波の高さは、もとの波の高さの2倍になります。もし高さ3 mの波であれば、6 mにもなります。
 これが事故が起こりやすい理由です。打ち寄せてくる波を見て「このくらいの高さなら大丈夫だろう」と思っていたら大間違い。反射の瞬間はその2倍の高さになるのですから。




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