フェーン現象

 大変な猛暑となった2007年、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で40.9℃という日本の最高気温が相次いで記録されました。それまでは、1933年に山形市で記録された40.8℃が最高でした。北の方に位置している山形でというのは意外な感じもしますが、ここにはフェーン現象が関係しています。以下、フェーン現象について説明します。

 海沿いにある山に、海上を通り抜けてきた湿った空気がやってきます。この空気は、山にぶつかって上昇していきます。








 標高が高くなるにつれて気圧が低くなるので、この湿った空気は膨張していきます。そして、空気は膨張すると温度が下がります。膨張するためにエネルギーを使うからです(「断熱膨張すると温度が下がる」というのが正確な説明となります)
 湿った空気の温度が下がると、水蒸気が水滴に変わっていきます。これが雲となって雨を降らせるため、空気中の水蒸気はどんどん減少していきます。







 ここでポイントとなるのが、水蒸気が水滴()に変わるときに放出する熱です。
 気体が液体に変わるとき、熱を放出します。これを「凝縮熱」と言います
 水蒸気から放出された熱を空気が受け取り、空気の温度は上昇します。結果、山を越えてきた空気は“乾いた”“暖かい”空気となるのです。







 山形は、フェーン現象が起きやすい土地であることから気温が高くなるのです。

 ちなみに、今回登場した「断熱膨張」の反対は「断熱圧縮」で、このときは気体の温度が上昇します。
 ISSへの補給船、(今は退役した)スペースシャトル、惑星探査機などが地球へ帰還するとき、ものすごい高温にさらされます。これは大気との摩擦で熱が発生することも原因ですが、猛スピードの宇宙船の前方の気体が急激に圧縮されることも原因です。




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