地球の熱ポンプ

 地球には、自分で自分の気温をコントロールする力があります。その仕組みはいくつもありますが、今回は「熱ポンプ」とも言える仕組みを紹介します。

 地球は、次のようにして地球上の熱を宇宙へ放出しています。






 海水が蒸発することで地上の熱を吸収し、その熱を水蒸気が上空へ運び、再び水滴に戻るときに放出するというわけです。上空で放出された熱の一部は、宇宙空間へ逃げていきます。
 もし地上の気温が上がれば、この働きは活発化します。海水の蒸発量が増えるからです。つまり、この仕組みによって地球は自分自身の気温を一定に保とうとしていると言えるのです。

 地球の平均気温は年々少しずつ上昇していますが、年によるばらつきはほとんどありません。それに比べて、北極の平均気温は年によるばらつきが大きくなっています。北極は温度が低く、空気も乾燥しているため、水蒸気による緩衝機構が働きにくいためです。







 このように、何か変化が起こったときにその変化を和らげようとする仕組みのことを「緩衝機構」と言います。

 今回挙げたのは緩衝機構の一例であり、地球は他にもたくさんの緩衝機構を持っています。例えば、空気中の二酸化炭素濃度が上昇すると、二酸化炭素の圧力(分圧と言います)が大きくなって海水中にたくさんの二酸化炭素が溶けるようになります。このようにして二酸化炭素濃度の上昇が緩和されるのも、緩衝機構の1つです。
 地球はもともと、変化を妨げる仕組みをたくさん持っています。それにも関わらず、地球の二酸化炭素濃度は上昇し、平均気温も上昇しているのです。人間活動がいかに地球に負担をかけているかが分かります。




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