金属や硬いプラスチックだと難しいですが、木材などであれば多少硬くても画鋲を刺し込むことができます。硬いものに穴をあけるには相当な力が要りそうですが、1本の指で押し込む力だけで穴をあけられるのは不思議な感じがします。
画鋲は、圧力の変換という巧みな方法を使った道具です。
普通の画鋲は、頭の部分(円形の部分)の直径は約1
cmなので、面積は約3.14
cm2です。
それに対して、先端部分はかなり細く、面積は極めて小さくなっています。先端部の直径を仮に0.03
cmとすると、面積は3.14×0.03×0.03
≒
0.0028 cm2となります。頭の部分の1000分の1以下です。
この結果、頭の部分を指で押して加えた圧力は、先端部では1000倍以上になることになります。つまり、画鋲は圧力を1000倍以上に大きくできる道具であると言えるのです。
大きくなった圧力で、画鋲は硬いものに穴をあけます。穴をあけるだけでも大変ですが、いったん中へ入り込むと、摩擦力も発生するのでそれにも逆らって進んでいかなければなりません。そして、中へ入り込むにしたがって接触部分が増え、摩擦力は大きくなっていきます。
これらの力に逆らって進むことができるのは、画鋲による圧力変換のおかげです。
なお、いったん刺さった画鋲が簡単に抜けないのは、摩擦力のおかげです。
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