高速道路など、車の走行速度が大きくなるような道路では、カーブの路面が内側が低くなるように傾いていることがあります。これは、遠心力によって車が外側へそれてしまうのを防ぐための仕組みです。
カーブを走行中、車は円運動していると考えられるので、重力以外に遠心力も受けます。遠心力の向きは、円軌道の外側向きです。
車(に乗っている人)は、重力と遠心力の合力の向きを「下向き」と感じます。遠心力が生じていないときには鉛直下向きが下だと感じますが、遠心力があるとそれよりずれた方向を「下向き」と感じるのです。
通常は、重力の大きさに比べれば遠心力の大きさはわずかです。ですので、鉛直線からの「下向き」のずれもそれほど大きくありませんので、タイヤと路面の間に生じる摩擦力で支えられます。
しかし、車のスピードvが大きくなったり、円の半径rが小さくなったりすると、遠心力が大きくなって摩擦力では支えられなくなります。また、路面が雨で濡れたりすれば、摩擦力が小さくなるのでやはり支えられなくなります。そのようなスリップを防ぐために、路面が円軌道の内側が下になるように傾けられているのです。
実際には、上の図ほど大きく傾いていることはありません(上の図は、傾き30°で描いています)。仮に、車の速度を80
km/h
≒
22.2 m/s、カーブの円軌道の半径を300
mとすると、傾きθを9~10°とすれば摩擦0で走行できることが、計算から求められます。ただ、摩擦0とするまで傾ける必要はありません。
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