スペースコロニーに重力を発生させる

 将来は、人類が地球から飛び出してスペースコロニー(宇宙空間に作る人工居住地)で生活する時代がやってくるかもしれません。
 宇宙空間では地表と違って重力が存在しません。しかし、無重力状態は生活するには不都合が多いため、スペースコロニーには重力を発生させる必要があります。どうすれば、重力を生み出すことができるでしょう?

 次のようなドーナツ型のコロニーを考えます。





 これが宇宙空間で静止していても重力は生まれませんが、回転させると遠心力が生じ、重力の代わりになります。





 このとき生ずる遠心力の大きさは、次のようになります。





 遠心力の大きさを地上での重力と等しくするには、





を満たすように、半径rと角速度ωを調節すればよいことが分かります。

 ところで、角速度とは「1秒間に角度にして何rad回転するか」を表すものです。例えば、1分間で1回転(2π rad回転)する場合は、角速度ω=2π÷60=π/30(rad/s)となります。角速度をこれより大きくすることも可能かもしれませんが、その場合はコリオリの力の影響で不快感が生じてしまうようです。ですので、角速度ωは最大でもπ/30(rad/s)ということになります。

 さて、先ほどの式にこの値を入れて、コロニーの半径rを求めると次のようになります。





 つまり、ドーナツ型のスペースコロニーを実現するには、最低でもこのくらいの大きさ(半径)が必要ということが分かるのです。

 ただし、コロニー内で移動すると、(コロニー自体の回転速度は変わらなくても)本人の回転速度は変わってしまい、遠心力の大きさも変わってしまいます。つまり、移動するたびに重力の大きさが変わってしまう、そんな空間ということになるのです。




トップページ   サイトマップ 

inserted by FC2 system