いよいよ9月。受験本番まで半年を切りました。この時期には、志望校がほぼ確定してきた人も多いと思いますし、1つに決まらなくてもいくつかの候補には絞られてきていると思います。
そこで、この時期には一度、自分の志望校の過去問を時間を計って解いてみましょう。もちろん、現段階で合格点を取れる人なんてほとんどいませんし、結果はボロボロで当然です。しかし、「今はまだ早いから、もう少し勉強してから」と言っていたのでは、いつになっても取り組むことはできません。
この時期に過去問に取り組む意味は、できた、できないということではありません。過去問を解くことで、自分の志望校の入試では
○どのくらいの時間で、どのくらいの量の問題を解く必要があるのか
○どのような問題が出題されるのか(記述が多いのか、マークが多いのか。知識を問うものが多いのか、考えさせるものが多いのか。英語では、英作文はあるのかないのか。などなど)
といったことを把握できます。これが、過去問を解いてみることの大きな意味です。
ザッと眺めるだけでも概況は分かりますが、できれば実際に解いた方がこれらのことがよく分かります。
そして、過去問の傾向がつかめれば、その入試問題を解くために自分に不足している力も分かりますし、残りの期間、どの科目のどの分野に重点的に取り組めばよいのかも見えてきます。
このように、過去問を解くことには大きな意味があるのですが、1つだけ注意点があります。それは、入試は満点を取らなくても合格できるということです。
赤本などには、多くの大学について、年度毎の合格最低点が掲載されています。まだ見ていない人は、必ず確認してください。
ほとんどの大学では、合格最低ラインの得点率が80%とか90%ということはないはずです。50%とか60%くらいが大半です。
合格ラインは年によっても変わってくるので、皆さんが受けるときが前年までと同じとは言えません。しかし、同じ大学の同じ学部・学科で、年によって合格ラインが大きく変動することはほとんどありません。ですので、前年度までの合格ラインの得点率を目標とすればよいと思います。
以上のことから、過去問は全部できる必要はないことが分かると思います。合格点に届きさえすればよいのです。
そして、ほとんどの大学で合格ラインに届くか届かないかの分かれ目となるのは、実は基本~中級レベルの問題なのです。入試問題の中には難問もありますが、難問はほとんどの受験生が正解できないので、合否の分かれ目にはなりません。
過去問を解いてみて、その中のできなくてもよい難問を見分けることも大切です。そして、それと同時にできなければならない基本~中級の問題も確認し、それを確実に解けるようになるために、これから何をすればよいのか確認しましょう。
また、「完答すべき問題」「部分点を狙う問題」「捨ててよい問題」を見分ける眼を養うこと自体も、過去問演習の重要なポイントです。この力がないと、入試本番で間違った時間の使い方(本当は捨ててよい難問なのに、それに多くの時間を費やしてしまう、など)をすることにもなりかねません。
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