ペルチェ効果

 「ゼーベック効果」の記事で少しだけ書いた「ペルチェ効果」について、詳しく説明します。
 2種類の導体を接触させて電流を流すと、その接触面で発熱または吸熱が起こります。電流の向きを逆にすると、発熱と吸熱も逆になります。







 これは、電子が流れる速度が導体の種類によって異なるために起こる現象です。

 上の図の場合だと、Aを流れる電子よりBを流れる電子の方が速く移動しています。すると、BからAへ電子が流れるとき(このとき、「電流」はAからBへ流れることに注意)に電子は減速するので、余ったエネルギーを放出するのです。逆に、AからBへ電子が流れるとき(「電流」はBからA)には、電子は吸熱してエネルギーを得て、加速するのです。

 ペルチェ効果は、半導体を利用しても生じます。







 n型半導体は、導体に比べて電子の密度が小さく、電子の速度が大きくなっています。よって、半導体へ電子が流れ込むときにはエネルギーを得て(吸熱)、出るときには放出します(発熱)







 p型半導体に電流が流れ込むときには、ホールを生むためにエネルギーが必要なので吸熱が起こります。逆に、ホールが金属板にぶつかるときには電子と結合して消えてしまい、安定化するため、発熱が起こるのです。

 ペルチェ効果をうまく利用し、温冷庫(保温も保冷もできる装置)を作ることができます(実際に利用されています)。電源コードをさす向きを逆にすると、保温と保冷が切り替わる装置です。









 ペルティ効果を利用した温冷庫は効率は良くありませんが、小型化が可能であり、振動や騒音が発生しないというメリットもあるため利用されています。




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