顕微鏡の構造

 顕微鏡や望遠鏡では、2枚のレンズを組み合わせることで物体を拡大して見えるようにしています。その仕組みを説明するとともに、顕微鏡と望遠鏡との違いについても説明したいと思います。

 今回は、顕微鏡について説明します。
 顕微鏡には、対物レンズと接眼レンズが組み込まれています。まずは、対物レンズによって拡大された像が作られます。





 このとき、





という式が成り立ちます。ここから、倍率をできるだけ大きくするには、aの値をfに近づければよい(すなわち、物体を焦点のすぐ近くに置けばよい)ことが分かります。
 実際の顕微鏡では、焦点距離が2.5 mm
くらいの対物レンズを使っています。このとき、afのときにはbの値がとても大きくなります。bの値が仮に25 cmになったとすると、倍率は100倍となります。bの値がもっと大きくなれば倍率ももっと大きくなりますが、顕微鏡の大きさからしてこのくらいが限度となります。

 次に、接眼レンズでは対物レンズで生じた実像を、さらに拡大します。





 接眼レンズの場合は、普通は焦点距離が2.5 cmくらいのレンズを使います。そして、実像の位置が焦点に近づくようにすると、倍率が大きくなります。
 結果的に観察者に見えるのは、接眼レンズで作られる虚像です。このとき、接眼レンズから虚像までの距離が25 cmくらいになると、実物がある位置と同じくらいの奥行に虚像が見えることになります。そして、そのときの倍率は25 cm2.5 cm 10倍くらいということになります。

 最終的には、対物レンズでの100倍×接眼レンズでの10倍=1000
倍の倍率に拡大された像が見える、ということになります。もちろん、これより倍率を大きくすることも可能ですが、そのようにしたら、可視光を利用する限りぼやけて見えてしまうことは、「顕微鏡の限界」で説明した通りです。




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